臨床検査の後は、結果が判明するまでの日々が永遠に続くかのように感じられるものだが、新たな調査で、検査結果を待っている患者は、担当医がまだ結果の評価を行っていなくても、あるいはたとえ悪い結果であっても、すぐに知りたいと思う人が圧倒的多数であることが明らかになった。この知見は、「JAMA Network Open」に3月20日掲載された。
米国では2021年4月に新しい規則が施行され、医療従事者には、検査結果や臨床所見に関する情報の患者への速やかな提示が求められるようになった。研究論文の上席著者の1人で、米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターを拠点に医療情報の透明性向上を目指す運動を行っているOpenNotes代表のCatherine DesRoches氏は、「患者の医療への参加を促すツールとしてオンラインの患者ポータルが登場した。このツールのおかげで、患者が自分の情報にアクセスし、医療上の意思決定に参加し、医師とコミュニケーションが取れるようになった」と説明する。
DesRoches氏は、「これまでOpenNotesの研究者たちが実施した研究から、臨床所見を即時に公開することがベスト・プラクティス(最善の方法)として推奨されている。しかし、医師がカウンセリングや説明を提供できる状態になる前に検査結果を患者に知らせることについては、議論の余地がある」と話す。
今回の研究では、2021年4月5日から2022年4月4日の間にオンライン患者ポータルを通して検査結果を確認した8,139人(平均年齢64歳、女性63.0%)の患者とケアパートナーから得られた回答が分析された。患者は米カリフォルニア大学デイビスヘルス、米コロラド大学アンシュッツ医療センター、米テキサス大学サウスウェスタン医療センター、米ヴァンダービルト大学医療センターで検査を受けていた。
10人中8人(80.3%)の患者が過去1カ月以内に1件以上の検査結果を閲覧していた。検査で最も多かったのは血液検査(75.4%)であり、画像検査と生検が48.5%を占めていた。結果の57.3%は異常なしであった。調査参加者のほとんど(95.7%)が、患者ポータルでできるだけ早く検査結果を受け取りたいと回答した。同じ回答をした患者の割合は、結果が異常だった患者のみに絞っても95.3%と高かった。医師から結果の説明を受ける前に患者ポータルで結果を閲覧した人のほぼ半数(45.9%)は「不安が軽減した」と回答し、「不安が増した」と回答した人はわずか7.5%であった。ただし、結果が異常だった人では、83.5%が結果を患者ポータルで閲覧したことで「不安が軽減した」または「変わらない」と報告していたが、16.5%は「不安が増した」と回答しており、この割合は、結果が正常だった人(5.0%)よりも高かった。検査前に医療チームによるカウンセリングを実施することで、不安の軽減が認められた施設もあった。
論文の共著者の1人であるOpenNotesのLiz Salmi氏は、「ヘルスケアシステムが健康に関する情報の透明性の向上に向けてかじを取る中で、即時のアクセスを求める患者の期待と、不安への対処の必要性とのバランスを取ることが重要である」と述べている。同氏はさらに、「良くない検査結果、特に、ハンチントン病やがんなどの新規診断に関連する結果を受け取った際に患者が感じる不安についての理解を深めるために、さらに研究を重ねる必要がある」と話している。(HealthDay News 2023年3月21日)
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