ソーセージや砂糖がけしたデニッシュが並ぶ朝食を好む人は多い。しかし、このような超加工食品を日常的に大量に摂取している男性では、結腸がんリスクが上昇する可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。驚いたことに、超加工食品によるこのようなリスク上昇は、女性では認められなかったという。米タフツ大学フリードマン栄養科学政策大学院のLu Wang氏らによるこの研究の詳細は、「The BMJ」に8月31日掲載された。

超加工食品は、砂糖、油/脂肪、精製デンプンを多く含有する加工済みの食品のことで、その全てが体重増加と肥満の原因となる。肥満は、結腸・直腸がん(大腸がん)のよく知られたリスク因子でもある。Wang氏は、「超加工食品は、ミネラルやビタミンなどの有益な栄養素や生理活性化合物の含有量も少ない」と説明する。

今回の研究では、医療従事者から成る3つの大規模コホート(女性15万9,907人、男性4万6,341人)を対象に、超加工食品の摂取と大腸がんの発症リスクとの関連が検討された。対象者は、「食物摂取頻度調査票(FFQ)」により130品目の食品の摂取頻度を4年に1度報告しており、超加工食品の摂取量に応じて5群に分類された。

24〜28年に及ぶ追跡期間中に、男性では1,294人、女性では1,922人が大腸がんを発症した。解析の結果、超加工食品の摂取量が最も多かった男性では、摂取量が最も少なかった男性に比べて、大腸がんの発症リスクが29%高いことが明らかになった。がんの発生部位で分けて解析すると、超加工食品の摂取と大腸がん発症との正の相関は、遠位結腸がんでのみ認められた(72%のリスク増加)。一方、超加工食品の摂取量が最も多かった女性では、摂取量が少なかった女性と比べて大腸がん発症リスクの増加は認められなかった。

超加工食品の種類別に解析を行ったところ、男性では、肉、鶏肉、魚介をベースにしたインスタント食品、および加糖飲料の摂取が多い場合に、大腸がんの発症リスクがそれぞれ44%と21%増加していた。女性ではインスタント食品/heat-mixed dishes(ピザ、チャウダーやクリームスープ、ブイヨンで作ったスープ、缶詰のスープ、フライドポテトなど)の摂取量が多い場合に大腸がんの発症リスクが17%増加していた。

Wang氏は、「この結果は、超加工食品と大腸がんの潜在的な関連のエビデンスとなるものだ。また、人々のより良い健康アウトカムを促すためには、特定の種類の超加工食品の摂取を制限することが、公衆衛生上、重要であることを強調するものでもある」と述べている。

なぜ男性でのみ大腸がんリスクの上昇が認められたのか。その正確な理由は不明としながらもWang氏は、「考えられる説明の1つは、女性が消費する超加工食品の種類が男性とは異なっているからかもしれない」と推測する。同氏は、「このような性差が本当にあるのか、さらなる研究で確認する必要がある」と付け加えている。

米メモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの若年性大腸がんおよび消化器がんセンターで共同ディレクターを務めるRobin Mendelsohn氏は、「超加工食品の大量摂取とがん、特に結腸がんの発症との関連を示す研究は増えつつあるが、この研究結果もその一つとして加わるものだ」と述べる。同氏によると、加工食品に使われる、肉の鮮度を保つために添加される硝酸塩や亜硝酸塩、肉を高温で調理するときに生成される複素環アミンなどの化学物質には発がん性があることが明らかにされているという。

Mendelsohn氏は、がんリスクを抑えるための最善策として、「皿の3分の2ほどを果物、野菜、全粒穀物が占め、残りが赤肉、魚、鶏肉、豆類になるような、植物を主体にした食事を取るのが一番だ。赤肉の摂取を制限し、加工肉はなるべく摂取しないようにするべきだ」と助言している。(HealthDay News 2022年9月1日)

https://consumer.healthday.com/9-1-lots-of-ultra-processed-foods-could-raise-a-man-s-odds-for-colon-cancer-2657959398.html

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