米食品医薬品局(FDA)は4月17日、骨髄機能廃絶療法後の血液がん患者における感染症リスクを低減するために、大幅に改良された同種臍帯血ベースの細胞療法であるOmisirge(一般名omidubicel-onlv)を承認した。対象は、放射線療法や化学療法などの骨髄機能廃絶療法後に臍帯血移植を予定している12歳以上の血液がん患者。

難治性の血液がんでは、一般的に、化学療法や放射線療法などによる移植前処置により患者の造血幹細胞を死滅させた後に、健康な造血幹細胞を移植してがんの完治を目指す治療(造血幹細胞移植)が行われる。しかし、移植前処置は患者の免疫機能も弱めてしまうため、時に命に関わる重度の感染症が生じるリスクも高くなる。

Omisirgeは、ドナーの臍帯血から採取した造血幹細胞をニコチンアミドで処理・培養したもので構成され、単回静脈内投与される。造血幹細胞は、事前にスクリーニングされたドナー由来のもので、投与量は患者ごとに異なる。

今回の承認は、12〜65歳の血液がん患者125人を対象にOmisirgeの移植と臍帯血移植後の患者の免疫機能を比較した多施設共同ランダム化比較試験のデータに基づいている。Omisirge移植群では、87%が治療後12日(中央値)で好中球の回復を達成したのに対し、臍帯血移植群では83%が好中球の回復に治療後22日(中央値)かかっていた。移植後100日以内に細菌または真菌の感染が見られたのは、Omisirge移植群の39%に対し、臍帯血移植群では60%であった。

一方でFDAは、Omisirgeによる治療では重篤な副作用が報告されており、この治療法を使う際にはリスクとベネフィットを評価する必要があると述べている。具体的には、承認済みの臍帯由来製剤と同様に、Omisirgeのラベルには、インフュージョンリアクション、移植片対宿主病(GvHD)、生着症候群(非感染性の発熱と発疹を特徴とする)、生着不全についての枠囲み警告が表示されている。また、最もよく生じる副作用として、感染症、GvHD、およびインフュージョンリアクションが挙げられている。

FDA生物製剤評価研究センター(CBER)のディレクターであるPeter Marks氏はFDAのニュースリリースで、「今回の承認により、血液がん患者における細胞療法は大きく進歩した。白血球の機能回復を早めることで、造血幹細胞移植に伴い重篤な感染症が生じるリスクを低下することができる」と述べている。(HealthDay News 2023年4月24日)

https://consumer.healthday.com/fda-approves-cord-blood-stem-cell-product-for-blood-cancer-patients-2659877616.html

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