患者の高齢化が進む国内のATL、標準治療の確立が急務

名古屋市立大学は6月6日、同種造血幹細胞移植の適応とならない高齢者アグレッシブ成人T細胞白血病・リンパ腫()に対する標準治療の確立を目指して実施された、世界初の臨床試験において、主要評価項目を達成したと発表した。今回の研究は、、九州がんセンターをはじめとする国内多機関共同臨床試験によるもの。研究成果は、「Blood」に掲載されている。

画像: 画像はリリースより

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ATLはヒトT細胞白血病ウイルス1型()により引き起こされる極めて予後不良な疾患である。日本は世界的にみてもHTLV-1感染者の多い国であり、中でも鹿児島をはじめとする西南日本は感染者が特に多い地域である。

若年(70歳以下)の患者に対しては、(以下、同種移植)が治癒を期待できる標準治療として確立している。しかし、国内ではATL患者の高齢化が進んでおり、同種移植の適応とならない高齢者ATLに対する標準治療の確立は、喫緊の課題とされてきた。

高齢者ATL対象、モガムリズマブ併用CHOP-14療法の第2相試験実施

今回の研究では同種移植の適応とならない高齢者ATL患者を対象に、モガムリズマブ併用CHOP-14療法(Moga-CHOP-14)の有用性を検証する第2相試験を、国内21施設で実施した(Clinical Trial Identifier: jRCTs041180130.)。ATL細胞は、90%以上の患者においてCCR4を発現しており、モガムリズマブは、国内で開発された抗CCR4抗体薬。CHOP-14は、非ホジキンリンパ腫に対する治療法の一つであり、4つの薬剤を14日間隔で投与する。今回、モガムリズマブ併用CHOP療法を14日間隔で実施できた患者は20人、残り28人は21日間隔で実施した(Moga-CHOP-14/21)。

過去の若年者対象CHOP-14療法を上回る治療成績、有害事象は血球減少・感染・皮疹など

その結果Moga-CHOP療法(Moga-CHOP-14/21)は、高齢者を対象としたにもかかわらず、過去に若年者を対象に実施されたCHOP-14療法を上回る治療成績が得られた。主な有害事象としては、血球減少、感染、皮疹などが認められた。

モガムリズマブ関連皮疹出現とCCR4遺伝子変異が、生存期間延長と有意に関連

また、モガムリズマブ関連皮疹の出現およびCCR4遺伝子変異の存在が、Moga-CHOP療法後の治療効果、すなわち生存期間の延長と有意に関連していることが明らかになった。

治療成績向上が必要だが、高齢者ATLへのMoga-CHOP-14/21の有用性示す重要な結果

高齢者ATLに対する標準治療として、Moga-CHOP-14/21の有用性が示されたことは大変インパクトの大きい研究成果と考えられる。しかしながら、今回の研究対象となった患者の生存期間中央値は1.6年であり、さらなる治療成績の向上が必要である。

治療抵抗例や再発する機序の解明、新規薬剤の併用療法など、高齢者ATL治療における臨床的な課題はまだ数多く存在している。「ATL治療戦略に関する多くのエビデンスはこれまで日本から発信されてきた。今後も国内から世界へ向けた信頼性の高いエビデンスの継続的な創出が強く期待されている」と、研究グループは述べている。(

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