小児外科手術において、国産手術支援ロボットを用いた手術を世界で初めて成功させた神戸大学のニュースをご紹介いたします。
近年、世界で手術支援ロボットの開発が進められ、その多くは成人を対象に利用されています。小児例の報告も増えてきていますが、小児外科手術の課題として体格や臓器が小さいことから操作範囲が狭くなるため、安全性の確保が必要となります。そのような中、国産の手術支援ロボットにおいては、手術を実施するアームがヒトの腕に近い形をしたコンパクトな設計となっており、アーム同士やアームと助手医師との干渉が低減されます。小児外科領域でもその特徴が発揮できると考えられ、事前に研究が行われました。新生児や乳児の小さな体を想定した模擬的空間で手術操作の精緻性と安全性を検証し、従来の外科手術と同等の精度レベルであること、また大幅に制限された空間条件下で複雑な縫合作業を管理するシステムの有効性が実証されました。このように綿密な検証をしたうえで小児患者さんの副腎腫瘍摘出手術が行われ、国産の手術支援ロボットとして、世界で初めて手術を成功しています。
今後、日本で生まれたコンパクト設計による手術支援ロボットの活用が世界で広がり、小児患者さんが手術を受ける際の負担が軽減され、子どもの体にやさしい手術が増えていくことが期待されます。
神戸大学ホームページ内のプレスリリース「世界初!国産手術支援ロボット『hinotori』を用いた小児手術に成功」(2024年10月17日)にて公開されています。