網膜変性疾患のモデル動物を⽤いた実験において、眼内に低分子化合物群を注射することで、視機能が回復することを示した九州大学の研究をご紹介します。
網膜変性疾患の治療法として、細胞移植治療や遺伝子治療の臨床研究が進められている中で、その製造費用や手術手技の専門性の高さが課題になっています。また、これらの治療法は、視機能が大きく低下し視機能を失った患者さんが対象になっています。本研究チームは早期発見される網膜変性疾患患者の多くが視機能を維持している現状に着目し、安価で簡便であることに加えて、早期介⼊できる治療法の開発に取り組まれています。そして、網膜の視細胞への分化を実現する4種類の低分⼦化合物群の発見により、眼内にこの低分⼦化合物群を同時注射することで視機能を回復させることに成功しています。
本研究では網膜変性疾患における網膜⾊素変性症にて早期治療介入により視機能の維持ができる可能性を述べています。網膜⾊素変性症は、国より指定難病に認定されている希少疾患です。希少疾患はその種類と総患者数が非常に多く、希少疾患のひとつである網膜⾊素変性症の患者を救うことは大きな社会課題のひとつを解決することにつながると考えられます。この網膜変性疾患への治療法が実用化されることによって、ひとりでも多くの方が⽣活の質を維持できることを期待します。
この研究に関する詳細は、九州大学ホームページの研究成果「網膜変性疾患の視機能を回復させる低分⼦化合物群を同定」(2023年2月27日)に公開されています。
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/888/

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