筋肉を維持することは認知症の予防に役立つ方法の一つである可能性があるようだ。新たな研究で、高齢者の側頭筋の減少はアルツハイマー病(AD)のリスク上昇と関連していることが示された。この研究を実施した米ジョンズ・ホプキンス大学医学部神経学教授のMarilyn Albert氏は、「骨格筋の少ない高齢者は、他の既知のリスク因子を考慮しても、認知症リスクが約60%高いことが明らかになった」と述べている。この研究結果は、北米放射線学会年次総会(RSNA 2024、12月1〜5日、米シカゴ)で発表された。

研究グループは、骨格筋は人の体重の約3分の1を占めており、加齢とともに減少する傾向があると説明する。また、頭部の側面に位置する側頭筋は、下顎を動かす際に使われる筋肉であるが、その厚さと面積は体全体の筋肉減少の指標となることが過去の研究で示されているという。

これらのことを踏まえてAlbert氏らは今回の研究で、アルツハイマー病神経画像イニシアチブ研究に参加した認知症のない高齢者621人(平均年齢77歳)を対象に、加齢に伴う側頭筋の減少がADの発症リスクに与える影響を検討した。研究開始時の脳MRI画像から両側の側頭筋をセグメント化して合計断面積(CSA)を計算し、参加者をCSAの大きい群(大CSA群、131人)と小さい群(小CSA群、488人)に分け、両群間でADの発症率、認知機能スコアの変化、および脳容積の変化を比較した。追跡期間の中央値は5.8年だった。

解析の結果、小CSA群では大CSA群に比べて、既知のリスク因子で調整後もADの発症リスクが約60%高いことが明らかになった。また、小CSA群は、記憶複合スコア、機能的活動に関する質問票のスコアのより大幅な低下、さらに脳容積のより大幅な減少と関連することも示された。

ただし、この研究は、骨格筋の減少と認知症との関連を調べることを目的にデザインされたものであり、因果関係が明らかにされたわけではない。それでも、研究グループの一員であるジョンズ・ホプキンス大学放射線科教授のShadpour Demehri氏は、「重要な筋肉が失われていることが分かれば、ウェイトトレーニングや食事管理などの手段で筋肉の減少を遅らせることができる。これらの介入は、認知機能低下や認知症リスクを軽減できる可能性がある」と述べている。

なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。(HealthDay News 2024年12月3日)

https://www.healthday.com/health-news/neurology/maintain-muscle-as-you-age-to-keep-brain-sharp

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