バイオマーカーという言葉、あまり聞きなじみがないかもしれませんが、私たちの健康状態の把握には、欠かすことのできない、切っても切れないものであることをご存じでしょうか。バイオマーカーとは、疾患の診断や、治療の効果を判定するための検査項目や生体内の物質のことを指します。バイオマーカーには、様々な種類があります。例えば、健康診断で測定する血糖値やコレステロール値などの血液検査項目だけでなく、日常的に測定する体温や血圧なども含まれます。また、がんの治療の効果があったかどうか判定する腫瘍マーカーもバイオマーカーの一つです。このように、私たちの身近なところでバイオマーカーは使われているのです。バイオマーカーについて、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の「産総研マガジン」にて詳しく解説されておりますのでご紹介いたします。
産総研では、新たなバイオマーカーの研究開発が行われており、その一例として、慢性肝炎や肝硬変などによって引き起こされる肝臓の線維化の指標となり、すでに臨床で使用されている肝線維化糖鎖マーカーであるM2BPGi(Mac-2 binding protein glycosylation isomer:Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体)や、ストレスによって増加する新規バイオマーカー候補のアラキドン酸酸化物である12-HETE(12-hydroxyeicosatetraenoic acid :12-ヒドロキシエイコサテトラエン酸 )について紹介されています。これらのバイオマーカーが実用化されるには、臨床検査用試薬メーカーとの開発を進め、医療機関で有用性を検証するための臨床試験が必要となるなど、各関連機関との連携が欠かせないことついても述べられています。
今後、新たな疾患の診断、治療のみならず、日常の健康維持や病気の予防においても役立つ新たなバイオマーカーに関する研究が産官連携によりさらに進むことが期待されます。
国立研究開発法人産業技術総合研究所ホームページ内の産総研マガジン「“バイオマーカー”とは?―健康診断や医薬品開発で使われる指標― 科学の目でみる、 社会が注目する本当の理由」(2024年7月3日)にて公開されています。