ハブ毒の持つ酵素がアルツハイマー病の原因物質とされているアミロイドβを分解することを明らかにした東北大学と東京大学の共同研究について、科学技術振興機構(JST)が運営する科学技術の総合サイト「Science Portal」のニュース記事をご紹介いたします。
認知症の発症原因のうち多くを占めているアルツハイマー病は、アミロイドβというタンパク質が脳内に蓄積し、神経細胞が傷害を受けて死滅することにより発症すると言われています。今回の研究では、毒蛇のハブが持つハブ毒から蛇毒メタロプロテアーゼというタンパク質分解酵素を精製し、アミロイドβに作用させたところ、アミロイドβを無害なペプチドへと分解することが確認されました。ただし、この蛇毒メタロプロテアーゼを高濃度で作用させると細胞自体が死んでしまうため、今後は適切な濃度を検証するとされています。
認知症に罹患する人は年々増加しており、その中でアルツハイマー病は社会における大きな課題となっています。近年、注目されているアルツハイマー病の治療薬である疾患修飾薬に加えてこの新たなアプローチでのアルツハイマー病治療法の開発が今後期待されます。
出典:Science Portal「毒をもってアルツハイマーを制す~ハブ毒の酵素で認知症原因物質分解 東北大など」(2023年10月18日)科学技術振興機構(JST)