血小板減少を引き起こす希少な自己免疫疾患
武田薬品工業株式会社は6月2日、完全ヒト免疫グロブリンIgG1モノクローナル抗体メザギタマブ(mezagitamab/開発コード:TAK-079)が、一次性免疫性血小板減少症(慢性特発性血小板減少性紫斑病:ITP)を予定される効能・効果として厚生労働大臣より希少疾病用医薬品の指定を取得したと発表した。
ITPはIgGが介在する希少な自己免疫疾患で、出血防止や止血を担う血液細胞である血小板(および/または巨核球)に対する自己抗体によって引き起こされる。ITPは、血小板の加速的な破壊(血小板産生障害の有無に関わらず)が特徴で、その結果、血小板数が減少し、出血のリスクが高まる。患者は衰弱(疲労や生活の質(QOL)の低下など)を来し、重症例では生命が脅かされる場合もある。診断後12か月以上血小板減少が持続、あるいは無治療で寛解を維持できない症例を慢性ITPと呼ぶ。
血小板数の迅速かつ持続的な回復をもたらすよう設計されたモノクローナル抗体
メザギタマブは、完全ヒト免疫グロブリンIgG1モノクローナル抗体(mAb)で、CD38発現細胞(形質芽細胞、形質細胞、ナチュラルキラー細胞を含む)に高い親和性を有し、これらの細胞を減少させる。メザギタマブによる治療は、血小板数の迅速かつ持続的な改善をもたらすようデザインされており、血小板数を正常な機能が得られるレベルまで回復させることが期待される。
これまでに、メザギタマブは米国食品医薬品局(FDA)からITPの治療薬として希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定、慢性/持続性ITPの治療薬としてファストトラック指定を受けている。同社は「メザギタマブは、どの医薬品規制当局からも使用が承認されていない治験薬だが、現在、国際共同臨床第3相試験が進行中だ」と、述べている。(QLifePro編集部)