アルツハイマー病(AD)の父親を持つ人は、自身にもADに関連する脳の変化が生じる可能性があるようだ。新たな研究で、ADの父親を持つ人ではADの母親を持つ人に比べて、脳内でのタウと呼ばれるタンパク質の拡散がより広範囲であることが確認された。脳内のタウのもつれは進行したADの特徴の一つである。マギル大学(カナダ)のSylvia Villeneuve氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に4月9日掲載された。

研究グループによると、過去の研究では、女性の性別や母親のAD歴がADリスクの上昇と関連することが示唆されているが、性別やADを発症した親の性別とADのバイオマーカーとの関連は明らかになっていない。

Villeneuve氏らの研究は、ADの家族歴があるものの試験開始時に本人の認知機能には問題のなかった243人(平均年齢68.3歳、女性69.4%)を対象に行われた。ADの家族歴があるとは、両親または父親か母親のいずれか、あるいは2人以上のきょうだいにADがある場合と定義した。試験参加者は、研究開始時にPETやMRIによる脳画像検査と認知機能検査を受けた。その後、242人が平均で6.72年にわたる追跡調査を受けた。

追跡期間中に71人が軽度認知障害(MCI)を発症していた。ADの父親を持つ人は、ADの母親を持つ人に比べて脳内のタウの拡散がより広範であり、脳内アミロイドβ(Aβ)とタウの関連が強い傾向が認められた。Villeneuve氏は、「われわれはADの母親を持つ人の方がより大きな脳の変化が見られるとの仮説を立てていたため、ADの父親を持つ人の方が、脳内のタウの拡散に対してより脆弱であることが示されたのは意外だった」と話す。

一方で、本研究では、女性は男性に比べて脳内のタウ蓄積量が多く、またAβとタウとの関連がより強いことも示された。この研究の付随論評の著者の1人で、ルンド大学(スウェーデン)臨床記憶研究ユニットのLyduine Collij氏は、「このことは、女性であることが、後期のタウ蓄積により強く関連していることを示唆している。これは、ADを発症した女性では、認知機能障害が始まってから認知機能が低下するペースがより速いことを示した先行研究の結果とも一致している」と指摘している。

Villeneuve氏は、「このような脆弱性について解明を進めることは、AD予防に向けた個別化介入の考案にも役立つ可能性がある」と述べている。(HealthDay News 2025年4月10日)

https://www.healthday.com/health-news/neurology/fathers-with-alzheimers-might-pass-down-the-disease-study-says

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