毎日たくさんの処方薬を服用しているアルツハイマー病患者は、有害な影響を受けるリスクの高いことが新たな研究で示された。1日に5剤以上の薬を処方されているアルツハイマー病患者は、より多くの症状を抱えやすく、また転倒や入院、死亡といった有害事象が起こりやすいことが明らかになったという。米ドレクセル大学看護学部のMartha Coates氏らによるこの研究の詳細は、「Biological Research for Nursing」に10月8日掲載された。Coates氏は、「多剤併用のアルツハイマー病患者は身体機能が低下しやすく、食事、入浴、着替えといった日常生活動作でより多くの支援を必要とし、杖や歩行器などの補助器具を必要とする可能性がより高かった」と述べている。

Coates氏らによると、1日に5剤以上の薬を使用する「ポリファーマシー」は、年齢を重ねるにつれて重大な問題となる(注:日本では、ポリファーマシーは多剤併用により害が出ている状態を指すことが多い)。Coates氏は、「これまでの研究で、毎日5種類以上の薬の服用は有害な健康アウトカムと関連し、薬の数が増えるに従い薬物有害事象や害のリスクが高まることが示されている」と同大学のニュースリリースの中で説明している。

今回の研究の背景情報によると、高齢者の30%以上がポリファーマシーの状態にあると推定されている。ただ、ポリファーマシーがアルツハイマー病および関連認知症(ADRD)の患者にどのような影響を及ぼすかについて検討した研究はほとんどなかったという。

今回の研究でCoates氏らは、メディケア受給者を対象とする米ジョンズ・ホプキンス大学の研究プロジェクトであるNational Health and Aging Trends Studyの2016~2019年のデータを用いて、2,052人(女性57.9%、84歳以下75%)の高齢者の症状、疾患、身体機能の変化を追跡した。2,052人のうちADRDにもポリファーマシーにも該当しなかったのは1,048人、両方とも該当したのは127人で、ポリファーマシーのみ該当したのは761人、ADRDのみ該当したのは116人であった。

その結果、ADRDとポリファーマシーの両方が該当した高齢者は、その他の高齢者と比べて、概して不快な症状を抱えている者が多く、転倒や入院、死亡のリスクも高いことが明らかになった。また、これらの高齢者では、その他の高齢者と比べて身体機能が低下しており、日常生活動作に手助けを必要とすることが多く、補助器具を使用している者も多かった。

なお、Coates氏は、医療提供者が高齢者の多剤を用いた薬物療法を管理する上で役立つツールは存在するものの、それらはアルツハイマー病などの認知症患者のニーズに合うように設計されたものではないことを指摘している。その上で同氏は、「アルツハイマー病の高齢者のポリファーマシーを予防、あるいは管理するための戦略を構築するため、さらなる研究が必要である」と主張している。

Coates氏は、「米国では高齢者人口が増加しつつあり、2040年までに65歳以上の高齢者は8000万人に達すると推定されている。このことは、ADRDと診断される高齢者も増加することを意味している。ポリファーマシーに関連する有害アウトカムを回避することでADRDの高齢者の生活の質(QOL)を向上させるとともに、障害の増加を抑えることができる」と話している。(HealthDay News 2024年11月4日)

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