MCIや認知症当事者の考えや生活実態は明らかにされていなかった

日本イーライリリー株式会社は9月10日、軽度認知障害(MCI)または認知症当事者の考えや生活実態を明らかにし、一般生活者とのギャップを明らかにすべく、MCIまたは認知症の当事者とその家族、一般生活者に意識調査を実施し、その結果を発表した。

画像はリリースより

厚生労働省によると、2022年の国内における認知症高齢者数(65歳以上)は約440万人、2040年には約600万人に達すると予測されている。このような状況を鑑み、2024年1月には「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、認知症になっても希望を持って自分らしく暮らし続けることができるという「新しい認知症観」への理解促進が進められている。

特に、認知症は個人により症状に幅があることから社会が持つ偏ったイメージやスティグマ(偏見)を変えていくことは、喫緊の課題と言える。

MCIまたは軽度認知症当事者の92%が、支援により自立した生活を維持できると回答

同調査は日本全国の55歳以上79歳未満、MCIまたは認知症(認知症の中でもアルツハイマー型/アルツハイマー病による認知症)と診断されている当事者もしくは家族(有効回答数190人、うちMCIまたは軽度認知症94人)、一般生活者(1,053人)を対象としたインターネット調査で、2025年6月13日~6月24日に実施した。

当事者の自立の度合いをMCIまたは軽度認知症の当事者・家族(94人)に確認したところ、92%が「自分のことは自分でできる」または「誰かが支援すれば自立できる」と回答。支援により自立した生活をおおむね維持できていることが明らかとなった。

MCIまたは軽度認知症の当事者・家族の76%が、早い段階で診断されて良かったと回答

また、MCIまたは軽度認知症の当事者・家族の76%が、早い段階で診断されたことを「良かった」と回答した。認知症の症状は進行していくことから、早期に気づき診断されることで、当事者がその後も自分らしい生活を長く維持できるように環境を整え、必要に応じた対応をするための時間を確保できることが考えられる。

一般生活者の「もの忘れ」での受診意向は48%と、健康全般での受診意向より低い

さらに、受診意向について確認したところ、「健康全般に関して」と「もの忘れに対して」の両方に対して、MCIおよび軽度認知症の当事者・家族は「少しでもおかしいなと感じたらすぐに」または「いつもと違う状態である程度の期間が続いたら」医療機関を受診すると約8割(それぞれ75%、77%)が回答した。

一方で、一般生活者では「健康全般に関して」は67%と高い受診意向をもっているにも関わらず、「もの忘れ」に対しては48%と受診意向が低くなることが明らかになった。このことから、受診意向の低い一般生活者が当事者となった場合、MCIや認知症の診断が遅れる可能性が示唆された。

一般の人が「もの忘れ」の原因を判断するのは困難、異変を感じたら速やかに受診を

同調査の監修者である、神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域教授/同認知症予防推進センター長古和久朋先生は「MCIや認知症の診断および治療環境は近年進歩しているが、当事者が異変を感じてから医療機関へ受診するまで年単位で時間を要すことも珍しくない。加齢による「もの忘れ」か、MCIまたは認知症による「もの忘れ」か判断することは難しいと思うので、異変を感じたら専門の医療機関に気軽に相談することを強く勧める」と、述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます

一般生活者の「もの忘れ」での受診意向低、早期対応への啓発が重要-リリー

新しい治療薬や血液バイオマーカーの登場により、アルツハイマー病の診断と治療は新たな時代を迎えています。大きく変化する認知症治療の最新事情や今後の展望について解説しています。

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