最新情報を入手したくても困難な時代(1970年代後半)
シスメックス学術セミナーは、医療従事者を対象としたセミナーである。主催者であるシスメックス株式会社の製品プロモーションは一切行われず、参加費無料で開催されている。このセミナーを開催するきっかけは、医学が目覚ましい進歩を遂げる中、「最新の情報がなかなか手に入らない…」という医療従事者の声を知ったことであった。
当時はインターネットが普及する前で、多くの学会が東京で開催されていた時代。医療従事者にとって、最新の情報を収集することは極めて困難であった。また、セミナーの中には高額な受講料がかかるものもあり、医療従事者に向けて開かれる情報提供の場は決して多くはなかった。
「医療従事者に最新のトピックスを提供したい」
シスメックス株式会社(当時、東亞医用電子株式会社)はその頃、血液検査を中心に事業を展開していた。医学に関する最新情報を収集したくてもなかなか手に入れることができないという医療従事者の切実な声、そして知識欲の強さを目の当たりにし、検体検査事業に取り組む企業の一つの役割として、最新の学術情報を発信するセミナーを東京と大阪で開催することを決断した。
企業としての利益追求のためではなく、「より多くの医療従事者に最新の学術情報を提供し、医療の発展に微力ながら貢献したい」という思いは、開催当時から引き継がれ現在も変わっていない。
第一線で活躍される先生方の活発な議論のもとにテーマ選定
さて、毎年セミナーのテーマはどのように決められているのだろうか。セミナーをアカデミックなものにするため、社外の著名な先生方が企画委員を務め、その時々の最新トピックスを取り上げ、これからの医療を見据え、活発な議論のもとさまざまな領域の中からテーマを選定している。
血液学から自己免疫疾患、遺伝子検査、再生医療など幅広い領域へとテーマを拡大
当初、主に血液学に関する最新情報の提供を行っていたが、医療の進歩とともに多様な領域へとテーマを拡大。これに伴い、2008年に開催された第31回より「シスメックス学術セミナー」へと名称を改めた。
現在では、血液学のみならず、骨髄の医科学、自己免疫疾患、遺伝子検査、再生医療、マイクロバイオームなど、幅広い領域からテーマを取り上げ、最新の学術情報を提供している。また開催当初は臨床検査技師の参加が多かったが、取り扱うテーマの拡大とともに、参加者の層も広がり、医師、研究者が増加、研究者は大学研究室だけでなく、企業研究所の所属者など、多様なフィールドから、幅広い医療従事者が参加するようになった。医学の発展と歩みをともにしてきた本セミナーは、第40回(2017年開催)までの累計参加者は延べ4万名以上にのぼる。
メイン会場と全国各地の会場をつなぐほか、Web配信で海外からも視聴可能に
時代とともに開催方式もどんどん変化し、進化を続けている。第1回は、大阪と東京でそれぞれ1回ずつ開催され、その後は、神戸と東京での開催に。さらに第20回(1997年開催)からは衛星中継を利用する回もあり、その際には開催地と札幌、仙台、名古屋、福岡など全国各地の会場を結び、より多くの医療従事者が参加するようになった。第40回(2017年開催)からは、神戸と東京をメイン会場に、全国各地および海外(アジア地域中心)のサテライト会場を設置しWeb配信(ライブ)で視聴できるようになった。
セミナー当日は、毎回4名ほどの先生方による講演が行われ、各講演終了後に質疑応答の時間を設けている。希望者にはさらに詳しい資料としてセミナーテキストを実費販売している。
第44回のテーマは「血液疾患:診断がつむぐ明日の医療」
第44回シスメックス学術セミナーは、「血液疾患:診断がつむぐ明日の医療」をテーマに開催される。
血液疾患のエキスパート4名による最先端の知見が得られる講演内容となっている。また、革新的な検査・診断技術の進歩が紡ぐ血液疾患診療の明日を、医師・研究者をはじめとする医療従事者が共有できるセミナーである。
講演要旨に加え、セミナー講演について分かりやすく説明した資料もWebサイトに掲載されている。上述のとおり、さらに詳しい資料としてセミナーテキストも希望者に実費販売が予定されている。
今回のセミナーで、どのような最新情報が発信されるのか、ますますシスメックス学術セミナーから目が離せない。
★★★★★★第44回シスメックス学術セミナー★★★★★
【テーマ】血液疾患:診断がつむぐ明日の医療
【開催日時】2022年6月4日(土) 10:00~16:05
【開催形式】現地会場(神戸・東京)+Web視聴(ハイブリッド開催)
【Webサイト】https://scientific-seminar.sysmex.co.jp/
作成:日本ビジネスアート株式会社