
アトピー性皮膚炎の機械的かゆみ過敏、血清TARC値と正の相関-順大
機械的かゆみ過敏のバイオマーカー探索
順天堂大学は6月24日、アトピー性皮膚炎患者の「触れるとかゆい」症状と相関する血液マーカーを発見したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科環境医学研究所・順天堂かゆみ研究センターの研究グループによるもの。研究成果は、「Acta Dermato-Venereologica」にオンライン掲載されている。

アトピー性皮膚炎は、激しいかゆみと反復する湿疹病変を特徴とする慢性の炎症性皮膚疾患である。患者は自発的なかゆみだけでなく、衣服がこすれるなど通常の接触ではかゆみを生じない軽い物理的刺激によってかゆみが誘発される「機械的かゆみ過敏(メカニカル・アロクネーシス)」を経験することが多い。この症状は、かゆみ、掻破(掻く行為)、皮膚炎の悪化、そしてさらなるかゆみが繰り返される悪循環(itch-scratch cycle)を引き起こし、患者のQOLを著しく低下させる要因となる。これまで、動物モデルにおいて機械的かゆみ過敏に関わる分子や神経回路は同定されてきたが、臨床においてどのような要因が関連しているのかは十分に解明されていなかった。
血清TARC値が機械的かゆみ過敏と正の相関
今回の研究では、健常者およびアトピー性皮膚炎患者を対象に、機械的かゆみ過敏と皮膚の乾燥指標(経皮水分蒸散量など)、疾患重症度、炎症・アレルギー関連血液マーカーとの関連を解析する横断的研究を行った。また、デュピルマブ投与による前向きコホート研究も実施し、治療前後の変化を評価した。
解析の結果、皮膚の乾燥指標は機械的かゆみ過敏と有意な相関を示さなかった。一方で、好酸球数、IgE、TARC(Thymus and Activation-Regulated Chemokine)などの血液マーカーを評価したところ、血清TARC値のみが、自発的なかゆみではなく機械的かゆみ過敏の強さと中等度の正の相関を示すことを発見した。さらに、IL-4/IL-13シグナルを抑制するデュピルマブによる治療後においても、好酸球数やIgE、TARC、自発的なかゆみ等は有意に減少したが、残存する機械的かゆみ過敏の強さは血清TARC値と引き続き正の相関を示した。このことから、TARCがアトピー性皮膚炎における「触れるとかゆい」症状と関連する可能性が示された。
悪循環を断ち切る新たな治療法開発に期待
機械的かゆみ過敏の誘発機序を解明することは、かゆみの悪循環を断ち切る新たな治療法の開発につながる可能性がある。今後は、TARCが機械的かゆみ過敏に寄与している可能性に着目し、機械的かゆみ過敏におけるTARCの関わりについてメカニズムの解明を目指す、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます)
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