アレルギーマーチの出発点「アトピー性皮膚炎」、早期介入の長期的効果を検証

国立成育医療研究センターは、乳児期早期に発症したアトピー性皮膚炎に対する早期強化治療が、3歳時点においても食物アレルギーの有病率低下と関連することを発表した。この研究は、同センターアレルギーセンターの山本貴和子氏、名古屋市立大学の大矢幸弘氏、大阪はびきの医療センターの亀田誠氏、近畿大学医学部の竹村豊氏、山口大学の長谷川俊史氏、三重病院の藤澤隆夫氏、千葉大学の山出史也氏、藤田医科大学ばんたね病院の近藤康人氏、公立昭和病院の川口隆弘氏、名古屋大学の秋山真志氏、秋田大学の河野通浩氏ら全国16施設によるもの。研究成果は、国際学術誌「Allergy」に掲載されている。

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画像はリリースより

アトピー性皮膚炎は「アレルギーマーチ」の出発点と考えられており、バリア機能障害によって皮膚からアレルゲンが侵入し、感作が成立することが明らかになってきた。研究グループはこれまでの多施設共同ランダム化比較試験(PACI試験)で、生後早期からの「早期強化治療(プロアクティブ療法)」が生後28週時点での鶏卵アレルギーの発症を減少させることを報告していた。今回の研究(PACI-ON研究)では、その予防効果が3歳時点までの長期的な予後について、多施設共同ランダム化比較試験に基づく追跡調査を実施した。

3歳時点での食物アレルギー有病率が47.4%に低下、スギ花粉感作も抑制

研究では、生後7~13週でアトピー性皮膚炎と診断された乳児650名に、「早期強化治療群(プロアクティブ療法)」と、ガイドラインに沿った「従来治療群(リアクティブ療法)」の2群に無作為に割り付け、生後28週まで治療を実施。その後は通常診療へ移行し、3歳まで食物アレルギー、皮膚症状、アレルギー疾患の発症、成長などを前向きに追跡評価した。

その結果、食物アレルギー全体の有病率は、従来治療群の58.8%に対し、早期強化治療群では47.4%と有意に低下していることが判明した。生卵アレルギーの既往についても、従来治療群40.5%に対して早期強化治療群30.4%と有意差が認められ、早期の耐性獲得が示唆された。なお、3歳までにはほぼすべての子どもが何らかの加熱卵を摂取可能となっていた。

アトピー性皮膚炎の重症度については両群ともに同等であり、90%以上が軽症以下と良好にコントロールされており、全身療法を要する症例はいなかった。また、生後28週時に見られた両群の身長・体重の差は、3歳時点では消失しており、成長への長期的な影響はないことが確認された。気管支喘息やアレルギー性鼻炎の発症率に有意差は認められなかったが、2歳時におけるスギ花粉感作は、早期強化治療群で有意に低い傾向を示した。

皮膚の十分な炎症コントロールが、新たなアレルギー予防戦略に

今回の研究は、乳児期のアトピー性皮膚炎に対して早期から十分に炎症をコントロールする介入が、食物アレルギーの長期的な予後やアトピー性皮膚炎のコントロールに好影響を与える可能性を世界で初めて実証したものである。

研究グループは、「皮膚治療による十分な湿疹のコントロールと適切な食物導入を組み合わせることで、アレルギー疾患の進展を抑える新たな予防戦略につながることが期待される」と述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます

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