血中IL-22・IL-18はデュピルマブ治療下の疾患活動性を反映するか

慶應義塾大学は3月23日、デュピルマブ治療中のアトピー性皮膚炎患者において、血中IL-22およびIL-18が治療期間を通じて疾患活動性を反映する可能性を明らかにした、と発表した。この研究は同大医学部皮膚科学教室の野村彩乃助教、川崎洋専任講師、天谷雅行教授と理化学研究所生命医科学研究センターの古関明彦チームディレクター(免疫器官形成研究チーム)、シスメックス株式会社の長谷川武宏氏らの研究グループによるもの。研究成果は、「Allergy」にオンライン掲載されている。

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画像はリリースより

アトピー性皮膚炎は、主に2型炎症を中心としながらも、17型22型関連炎症など複数の免疫経路が関与する多様性の高い炎症性疾患として知られる。これまで、アトピー性皮膚炎の皮膚では患者ごとに炎症経路の活性化パターンが異なることが示されてきた。今回の研究では、この知見に基づき、複数の炎症経路に着目してアトピー性皮膚炎患者の血液を解析した。血中CCL17(TARC)は、2型炎症を反映する代表的なバイオマーカーとして広く用いられ、国内では保険診療にも組み込まれている。一方で、2型炎症を強力に抑制する生物学的製剤デュピルマブの登場により治療成績が向上するなか、治療中に残存する疾患活動性をどのようなバイオマーカーで評価するかについては、十分に整理されていなかった。

170名の横断解析と24名の縦断追跡調査を実施

そこで今回研究グループは、アトピー性皮膚炎患者170名の血中サイトカインを横断的に解析し、そのうちデュピルマブ治療を受けた24名を6か月間追跡する縦断研究を行った。従来から用いられてきたCCL17に加え、IL-22 およびIL-18 を含む複数の炎症関連サイトカインと皮膚症状の重症度(Eczema Area and Severity Index : EASI)との関係を検討した。

横断解析(170名)では、複数の血中サイトカインが重症度と関連した。なかでもCCL17、IL-22およびIL-18は、重症度と相関を示し、生物学的製剤などの全身治療を受けていない患者において、血液で病勢を把握するバイオマーカーとなり得ることが示された。

縦断解析(24名、6か月追跡)では、血中CCL17は治療開始後に速やかに低下し、その後は値が低い状態で推移した。そのため、治療初期には重症度と相関がみられる一方で、治療継続中には重症度との関連が弱くなる傾向が示された。 一方、IL-22およびIL-18 は治療開始後に低下しつつも一定の変動幅を保ち、治療期間を通じて重症度と関連していた。これらの結果から、デュピルマブ治療下では、IL-22およびIL-18が治療中に残存する疾患活動性を捉える補完的バイオマーカーとなり得ることが示された。

免疫学的多様性を踏まえた指標活用へ

本研究では、外用治療下で広く用いられてきたCCL17の位置づけを踏まえつつ、デュピルマブ治療下ではIL-22およびIL-18が治療中の疾患活動性を捉える指標となり得ることを示した。「今回の知見は、アトピー性皮膚炎の免疫学的多様性を背景に、生物学的製剤治療中の疾患動態をより客観的に評価するための新たな視点を提供するもの。今後のさらなる検証により、複数の炎症経路を反映する血中指標を活用した評価体系の構築につながることが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます

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