現行の術後補助化学療法の選択肢のみでは、術後再発が約半数の早期肺がん

中外製薬株式会社は4月19日、抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤アレセンサ(R)(一般名:アレクチニブ塩酸塩)について、米国食品医薬品局新規ウィンドウを開きます(FDA)により承認された方法により検査されたALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)(腫瘍が4cm以上またはリンパ節転移陽性)に対する腫瘍切除後の補助療法として、FDAより承認を取得したと発表した。

肺がんはNSCLCと小細胞肺がん(SCLC)の2つに大別される。NSCLCは最も患者数が多く、全肺がんの約85%を占める。早期肺がん患者の約半数(疾患のステージにより45~76%)が、術後補助化学療法の選択肢があるにも関わらず、手術後に再発を経験するとされている。再発前に早期に肺がんを治療することで、再発を予防し、治癒につながる治療機会となる可能性がある。

アレセンサは現在、腫瘍切除手術を受けたALK陽性早期NSCLC患者に対して承認された唯一のALK阻害剤。日本では再発または難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に対しても承認を取得している。欧州や日本、台湾など米国以外の各国では、承認に向けた当局による審査が進行している。同剤は、中枢神経系(CNS)転移のある患者を含め有効性が示されており、今回の承認により、アレセンサが早期NSCLC患者にもベネフィットをもたらすことが期待される。

National Comprehensive Cancer Network(R)(NCCN(R))の腫瘍学診療ガイドライン(NCCN Guidelines(R))を含む国際的ガイドラインでは、臨床医の意思決定を支援するため、進行NSCLC患者と病期IB~IIIAと一部のIIIB患者(UICC/AJCC第8版)の外科切除された腫瘍組織または生検組織を、ALK、EGFR、PD-L1バイオマーカーに対して定期的に検査することが推奨されている。NSCLC患者の約5%がALK陽性であり、これは全世界で毎年約9万人がALK陽性と診断されていることに相当する。

ALK陽性NSCLC完全切除術後補助療法P3試験成績に基づく承認

今回の承認は、ALK陽性NSCLCを完全切除した患者の術後補助療法を対象としたグローバル第3相臨床試験ALINA試験(NCT03456076)の良好な成績に基づくもの。同試験は、IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC第7版)のALK陽性NSCLCを完全切除した患者を対象として、術後補助療法としてアレセンサとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性および安全性を比較する第3相、ランダム化、実薬対照、多施設共同、非盲検臨床試験。同試験には、両群のいずれかにランダム化された257例が登録された。主要評価項目は無病生存期間、副次評価項目は全生存期間、有害事象の発現状況など。

再発または死亡リスク76%低下、化学療法との比較で

同試験においてアレセンサは、IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC第7版)のALK陽性早期NSCLCを完全切除した患者で、プラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを76%低下させることを示した(ハザード比=0.24、95%信頼区間:0.13-0.43、p<0.001)。また、探索的解析では、CNSの無病生存期間についても、アレセンサはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを78%低下させた(ハザード比0.22、95%信頼区間:0.08-0.58)。なお、これらのデータは、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のPresidential Symposiumで、Late Breaking oral演題として講演発表され、「New England Journal of Medicine誌」に掲載されている。

アレセンサの安全性および忍容性は、ALK陽性の転移性NSCLCを対象とした過去の試験と同様であり、予期せぬ所見は認められなかった。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます

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