がんと腸内環境の関係は、十分に解明されていなかった

藤田医科大学は9月7日、膵がん患者と腸内環境におけるメカニズムの一部を解明したと発表した。この研究は、同大消化器内科学 医科プレ・プロバイオティクス学の研究グループと、株式会社メタジェンの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Scandinavian Journal of Gastroenterology」オンライン版に掲載されている。

膵がんは近年急増しているがんの一つであり、メカニズムの解明と新たな治療法の開発は、学術的価値のみならず社会的意義もある大きな研究と言える。一方で、「がん」と「腸内環境」の関係については十分に解明されていなかった。

そこで研究グループは今回、膵がんと腸内環境における関連を評価し、膵がんが生じるメカニズムの一端を明らかにすることで、その後の患者のQOL改善につながる可能性があるのではないかと考え、研究を行った。

膵がん患者の腸内細菌叢には、口腔内に関連した細菌が多く酪酸産生菌が少ない

研究では、切除不可能な膵体尾部膵管腺がん患者(5人)と健常な日本人(68人)から便を採取し、腸内細菌と腸内代謝物質の組成について評価した。その結果、膵がん患者は健常者と比べ、腸内細菌叢の多様性にほとんど差がないことが判明した。

一方、膵がん患者では健常人に比べ、口腔内に関連した細菌「Streptococcus」「Actinomyces」「Lactobacillus」などが有意に多いこと、反対に、酪酸新規ウィンドウを開きます(生体の免疫・代謝機能に重要な影響を及ぼしている短鎖脂肪酸)を作る菌「Anaerostipes」が有意に少ないことが示された。

膵がんの病状や予後に特定の細菌が関与する可能性、腸内代謝物質も健常人に比べ「少」

また、生体の免疫・代謝・抗菌に大きく影響を与える腸内代謝物質も全体として健常人に比べ少ない傾向があることが示された。

これらの結果から、膵がん患者は健常人と比較して、腸内環境が大きく損なわれているわけではないものの、特定の細菌群に違いがあることが示された。同結果は、膵がんの病状や予後などに、これら特定の細菌が関与する可能性を示唆しており、同細菌をターゲットとしたプレバイオティクスやプロバイオティクスによる介入が、膵がんの新規メカニズム解明や治療方法の開発につながることが期待される。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます

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