
HbA1c、年齢、腹囲などと医療費との非線形な関係・男女差を解明-金沢大
特定健診データと国保データベースを用い健診項目と将来の医療費との関係を可視化
金沢大学は9月17日、60~74歳の6,757例を対象に解析した結果、HbA1c、BMI、腹囲などの健診項目と将来の医療費との関係は、単純な直線関係ではなく、検査値の水準や性別によって異なることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院自然科学研究科電子情報通信学専攻博士前期課程2年(研究当時)の中村晴人氏、人間社会研究域経済学経営学系の原田魁成講師、融合研究域融合科学系の南保英孝教授、寒河江雅彦特任教授、理工研究域電子情報通信学系の今村幸祐准教授、国際基幹教育院GS教育系の唐島成宙准教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Health Economics Review」に掲載されている。

特定健康診査(特定健診)では、BMI、腹囲、血圧、脂質、HbA1cなどが継続的に測定されている。しかし、これらの検査値と将来の医療費との関係は必ずしも単純ではなく、どの値の範囲で関連が強くなるのか、また男女で違いがあるのかについては十分に整理されていなかった。
そこで今回の研究では、2012年度から2022年度までの特定健診データと国保データベース(KDB)レセプトデータを連結し、60~74歳の6,757例を対象とし、複数年度にわたる延べ1万1,148件の健診データを用いて、健診後3~4年の外来・入院・調剤医療費との関連を解析した。解析には、検査値と医療費との関係を曲線として表現できる一般化加法モデル(GAM)を用いた。
年齢とHbA1cは、男女を通じて将来の医療費と関連
研究の結果、年齢とHbA1cは、男女を通じて将来の医療費と一貫した関連を示した。特にHbA1cはJ字型の関連を示し、約6.0%を超える領域で医療費との関連が強くなる傾向が認められた。また、BMI、腹囲、脂肪肝指数(FLI)についても、将来の医療費との関連が認められたが、その関連の現れ方には男女差が見られた。男性では腹囲やFLIとの関連が比較的大きく、女性ではBMIや腹囲の高値領域で関連が強まる傾向が示された。
健康・医療データを、生活習慣病予防や保健事業に活用する基礎的な知見として期待
今回の研究により、健診項目と将来の医療費との関係が「どの値の範囲で関連が強くなるのか」という形で可視化された。今後は、疾病情報や処方薬、医療利用歴、生活習慣などの情報を統合し、より包括的な健康リスク評価モデルの構築を目指す。
「本研究は、健診値を単純に個人の健康状態の『正常・異常』で捉えるのではなく、項目ごとにどの値の範囲で将来の医療費との関連が強まるのかという形で可視化した点に特徴がある。本研究の知見は、地域に蓄積された健康・医療データを活用し、生活習慣病予防や保健事業に活用するための基礎的な知見となることが期待される」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます)
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