胎児期のマンガンばく露が男児の0歳時TSH低下傾向と関連、1,773組対象-北大
エコチル調査で胎児期ばく露と甲状腺ホルモンの関連を解析
北海道大学は7月24日、胎児期のマンガンおよびセレンへのばく露と4歳までの甲状腺ホルモン指標との関連に関する研究成果を発表した。この研究は、同大環境健康科学研究教育センターの山口健史特任准教授、岸玲子ユニットセンター長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Environment International」に掲載されている。
環境中の化学物質や微量元素が子どもの発育に与える影響について、近年さまざまな視点から解明が進められている。甲状腺ホルモンは、胎児期から乳幼児期にかけての脳の発達やからだの成長に欠かせない。マンガンは日常的に摂取される必須微量元素の一つであり、体内のさまざまな酵素のはたらきを助けている。セレンも同じく必須微量元素であり、酸化ストレスから守る役割などを持つ。一方で、量が多すぎたり少なすぎたりすると、神経系や甲状腺などのホルモンのバランスに関係する可能性が指摘されてきた。しかし、胎児期のマンガンおよびセレンのばく露と子どもの甲状腺ホルモンとの関連は、十分にわかっていなかった。
さい帯血中マンガン濃度が高いほど0歳時のTSHが低い傾向
今回の研究では、エコチル調査の詳細調査に参加した母子1,773組を対象に、妊娠中期から後期の母体血と出生時のさい帯血を用いてマンガンおよびセレンの濃度を測定し、子どもの血中甲状腺ホルモン値との関連を解析した。子どもの甲状腺ホルモン指標として、0歳時(出生後4~6日)の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、2歳および4歳時のTSHと遊離サイロキシン(FT4)を用いた。解析では、母親の年齢、妊娠前BMI、喫煙、学歴、世帯収入、母親のヨウ素摂取量、子どもの性別、出生体重などを考慮した。
その結果、さい帯血中マンガン濃度が高いほど、0歳時のTSHが低い傾向がみられることが明らかになった。この関連は、特に男児で明瞭であった。マンガン濃度の低い順に参加者を4つの群に分けた解析や、出生後から4歳までの複数時点のTSHを考慮した解析などでも、結果の傾向は大きく変わらなかった。一方、母体血中マンガン濃度についても、0歳時のTSHが低い方向の関連はみられたが、さい帯血中マンガン濃度ほど明瞭ではなかった。また、母体血およびさい帯血中のセレン濃度と、子どものTSH・FT4との間には、明らかで一貫した関連はみられなかった。
0歳時TSH値の違いによる成長や発達への影響を長期追跡へ
今回の研究により、胎児期のマンガンばく露と0歳時のTSHとの間に、男児でより明瞭な関連がみられる可能性が示された。ただし、同研究は観察研究であり、マンガンが直接TSHを低下させるという因果関係を証明したものではないため、慎重に解釈する必要がある。
「今後は、本研究でみられた0歳時のTSH値の違いが、学童期以降の成長や発達とどのように関係するのか、長期追跡で調べる必要がある」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます)
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