
AI料理アプリで2型糖尿病のHbA1cが0.28低下、調理頻度増で改善傾向-自治医大ほか
人的介入なしの完全オンライン観察研究でアプリの効果を評価
自治医科大学と株式会社おいしい健康は8月4日、AI料理アプリ『おいしい健康』の利用が、2型糖尿病のある人における血糖管理や体重指標の改善と関連することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学部内科学講座内分泌代謝学部門の武井祥子氏、濱田一喜氏、清水成氏、櫻井百恵氏、矢作直也教授、および株式会社おいしい健康の野尻哲也代表取締役CEOらの共同研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Diabetology」に掲載されている。

2型糖尿病の管理においては、薬物療法に加えて日々の食事や生活習慣の改善が重要である。近年、スマートフォンアプリを活用したデジタルヘルス支援が注目されているが、これまでの研究の多くは医療者による面談・指導と組み合わせて評価されており、人的介入を伴わないアプリ単独での有効性については検証の余地が残されていた。今回対象としたアプリは、年齢や性別、体格、併存症、閲覧履歴などの情報に基づき、AIが個人に合った和食中心の献立やレシピを提案するものである。このような個別最適化と文化適合性が、医療者の直接的なサポートに代わって食事改善を後押しするかを検証すべく、参加者募集からデータ収集まで完全オンラインで実施し、研究期間中の医療者からの介入を伴わない設計で研究が行われた。
アプリ利用でHbA1cとBMIが有意に低下、食習慣も改善
今回の研究では、20歳以上で2型糖尿病の自己申告がある、または血糖管理に関心のある人を対象に12週間の単群観察研究を実施した。参加者はアプリを自由に利用し、体重や直近の医療機関で測定したHbA1c、食習慣などの情報をオンラインで自己申告した。最終的にBMIおよび食事関連解析に65例、HbA1c解析に24例が対象となった。
その結果、HbA1cデータがそろった24例において、平均HbA1cがベースラインの6.40%から12週後には6.12%へと0.28ポイント有意に低下した。とくにベースラインのHbA1cが6.5%以上の参加者10例では、0.49ポイントの大きな改善が観察された。また、65例の解析対象全体で平均BMIが23.47から23.28へと有意に低下した。さらに、年齢やベースラインのHbA1c、元の調理頻度などを調整した多変量解析の結果、アプリを用いた調理頻度が週1日増えるごとに、HbA1cが0.09ポイント大きく低下する関連が認められた。食習慣についても、塩分の多い調味の見直しや脂の多い肉の摂取減少など望ましい方向への変化がみられ、参加者の80%超が「アプリ利用により食習慣が改善した」と回答した。
大規模な臨床研究を通じた有効性検証と社会実装を目指す
同成果により、日本の食文化に合わせた個別最適化型の料理・献立アプリが、医療者の直接介入がなくても2型糖尿病の自己管理を支援し得る可能性が示された。完全オンラインで実施可能であるため、通院負担や人的リソースの制約がある状況下でも、広く食事支援を提供できることが期待される。
今後は、対照群を設けた比較試験や客観的指標を用いた検証など、より大規模で厳密な臨床研究を通じてアプローチの有効性の確認を進めるとともに、デジタル技術を活用した食事支援を確立し、糖尿病等の生活習慣病領域における個別化栄養支援の社会実装を目指していく、と共同研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます)
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