
大腸がん肝転移298例、ctDNA陽性で術後補助化学療法が有用-国がんほか
大腸がん肝転移における術後補助化学療法の課題
国立がん研究センター、九州大学、兵庫医科大学は7月7日、リキッドバイオプシーにより大腸がん肝転移術後の補助療法の効果が期待される患者群を探索的に検討したと発表した。この研究は、国立がん研究センター東病院吉野孝之国際臨床腫瘍科長、九州大学病院先端医工学診療部沖英次教授、兵庫医科大学消化器外科学(下部消化管外科)片岡幸三講師らの共同研究グループによるもの。研究成果は、「JAMA Oncology」にオンライン掲載されている。

大腸がん肝転移の患者に術後補助化学療法を実施することが、全生存期間の延長につながるかどうかは未だわかっておらず、術後の再発リスクに応じた術後補助化学療法の導入が期待されている。大腸がん肝転移の患者において、リキッドバイオプシーが再発リスクの予測に有用であることは既に報告済みであるが、リキッドバイオプシーの結果に基づいて術後補助化学療法を実施することが全生存期間を延長できるかどうかについては、明らかではなかった。
術前化学療法なしの191例、陽性で生存割合65.3%に
今回の研究では、GALAXY試験に登録された6,061例の中から、大腸がん肝転移に対して初回手術を実施した298例を対象に解析を行った。分子的残存病変検出技術「Signatera」アッセイを用いて、術前および術後4週時点から定期的に血液を採取し、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の測定から血液中のがん遺伝子異常の有無を調べた。対象を術前化学療法を受けずに初回手術を受けた患者191例と、術前化学療法後に手術を受けた患者107例に分け、それぞれの群において、術後2-10週の間でctDNA陽性例と陰性例に分類して術後補助化学療法の有無による無病生存期間および全生存期間を比較した。その結果、術前化学療法を実施しなかった場合、術後ctDNA陽性であった患者において、術後補助化学療法を受けなかった群の無病生存割合の中央値は2.3か月であったのに対し、術後補助化学療法を受けた群では13.9か月と再発リスクが低下する傾向がみられた。また、48か月時点での全生存割合も、術後補助化学療法なしの32.9%に対し、ありの場合は65.3%と高くなる傾向がみられた。
一方で、術後ctDNA陰性であった場合は、術後補助化学療法の有無に関わらず全生存割合はともに良好となる傾向がみられた。術前療法を実施した場合も同様の傾向であったが、統計学的に有意な差には至らなかった。
ctDNAに基づいた個別化治療の実現へ
同研究の結果から、術後にctDNAを測定し、ctDNA陽性の場合に術後補助化学療法を実施することで、全生存期間が延長する可能性が示唆された。大腸がん肝転移におけるctDNAに基づいた術後補助化学療法の個別化が期待される。今後は、ランダム化比較試験等により本研究結果を検証するべく取り組んでいくと、共同研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます)
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