
乳がんのTP53変異でCDK4/6阻害薬の治療期間短縮-横浜市大
全国がんゲノム医療データベースを用いたリアルワールド解析
横浜市立大学は6月12日、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)のリアルワールドデータを用いた解析により、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんにおいてTP53変異を有する患者ではCDK4/6阻害薬の治療継続期間が短いことを明らかにし、年齢層別の臨床的意義を評価した結果を発表した。この研究は、同大附属病院乳腺外科の押正徳助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「Breast Cancer Research」に掲載されている。

ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんは、乳がんの中で最も頻度が高く、近年はCDK4/6阻害薬の登場により治療成績が大きく改善している。一方で、同じ治療を受けても効果の持続期間には個人差があり、治療効果を予測する指標の確立が求められていた。代表的ながん抑制遺伝子であるTP53の変異は乳がんで高頻度に認められ、海外の臨床研究などでは予後不良や治療抵抗性との関連が報告されていた。しかし、国内の実際の診療現場において、TP53変異が治療経過とどのように関連するか、また年齢層によってどう異なるかについては十分な検証が行われていなかった。
転移性乳がん1,668例を解析、免疫チェックポイント阻害薬では差なし
そこで研究グループは、国際乳がんデータベース(METABRIC)に登録された1,355例および、日本全国のがんゲノム医療情報を集約したC-CATに登録された転移性のホルモン受容体陽性HER2陰性乳がん1,668例のデータを活用し、TP53変異と薬物療法の治療継続期間との関連を解析した。
その結果、C-CATの解析において、TP53変異を有する患者ではCDK4/6阻害薬の治療継続期間が有意に短いことが明らかになった。一方、免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療においては、TP53変異の有無による治療継続期間の差は認められなかった。
若年層(AYA世代)でTP53変異頻度が最も高いことが判明
さらに、AYA世代(15〜39歳)、閉経前世代(40〜54歳)、閉経後世代(55〜64歳)、高齢世代(65歳以上)に分けた年齢層別解析を実施した。その結果、AYA世代でTP53変異頻度が最も高いことが判明した。また、閉経前、閉経後および高齢世代では、TP53変異を有する患者でCDK4/6阻害薬の治療継続期間が短い傾向が確認された。
今回の研究により、実臨床におけるTP53変異の意義が日本全国のリアルワールドデータから示された。「がんゲノム情報を活用した個別化医療の発展に寄与することが期待される。今後はAYA世代を対象としたさらなる解析や、前向き臨床研究などを通じて、TP53変異と治療抵抗性との関連や分子メカニズムをさらに明らかにする必要がある」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます)
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