抗炎症作用のある食品が豊富な食事は認知症の予防に役立つ可能性があることが、新たな研究で示唆された。アルツハイマー病関連病理や神経変性に関連する血液バイオマーカーが高い人では、抗炎症作用のある食事パターンへの遵守度が高いほど認知症リスクが低いことが示されたという。リュブリャナ大学(スロベニア)のAnja Mrhar氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に6月25日掲載された。Mrhar氏らは、「約15年間にわたる高齢者コホート研究において、健康的な食事パターンの遵守率が高いほど認知症リスクは低いことが示された。この関連は、アルツハイマー病関連病理や広範な神経生物学的リスクを有する参加者においても認められた」と結論付けている。

この研究では、スウェーデンの高齢者研究プロジェクトに参加した成人1,865人(平均年齢70.5歳、女性60.3%)のデータを用いて、食事の質と認知症リスクとの関連を、アルツハイマー病関連病理および神経変性に関連する血液バイオマーカーの血中レベル別に検討した。具体的なバイオマーカーは、p-tau217、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)であり、ベースライン時に評価された。p-tau217は、アルツハイマー病に特徴的な異常リン酸化タウタンパク質の一種、NfLは神経細胞の軸索が損傷した際に血液中に増加するタンパク質、GFAPは神経細胞を支持するアストロサイト(星状膠細胞)の活性を反映するタンパク質である。

参加者は60歳以上で、2001年3月~2004年8月の研究登録時に認知症を発症しておらず、78歳以上は3年ごと、78歳未満は6年ごとに、2016年2月~2019年11月まで追跡された。追跡調査では、食事の質や認知機能の評価などが行われた。食事の質は、98項目から成る食事摂取頻度調査票の回答に基づき、代替地中海食(Alternate Mediterranean Diet;AMED)、代替健康食指数(Alternative Healthy Eating Index;AHEI)、および逆転経験的食事炎症指数(reversed Empirical Dietary Inflammatory Index;rEDII)の3つの食事パターンへの遵守度を指標として評価した。

平均8.4年間の追跡期間中に240人が認知症を発症した。解析の結果、より健康的な食事パターンへの遵守度が高い人では、アルツハイマー病関連病理や神経変性に関連する血液バイオマーカー値が高値の場合でも、認知症リスクが低い傾向が認められた。rEDIIのzスコアが1標準偏差高くなるごとに、認知症リスクは、p-tau217レベルが高い人で29%(ハザード比0.71、95%信頼区間0.58~0.88)、NfLレベルが高い人で21%(同0.79、0.66~0.95)、GFAPレベルが高い人で27%(同0.73、0.60~0.89)低かった。一方、AMEDおよびAHEIと認知症リスク低下との関連は、バイオマーカーレベルが低い人においてのみ認められた。

研究グループは、「これらの結果は、標的を絞った食事による認知症の予防戦略が、一般集団だけでなく、認知症リスクが高い人にとっても重要であることを強調するものだ」と結論付けている。

この研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスの管理栄養士であるEmily Case氏は、「抗炎症食には、アルツハイマー病の予防や進行の抑制に有効だとするエビデンスが蓄積している」と述べた上で、「毎日、健康状態と栄養を適切に管理し、適度な身体活動量と十分な睡眠時間を確保することは、アルツハイマー病などの認知機能障害を予防するために本当に重要なことだ」と指摘している。

さらにCase氏は、「遺伝的素因そのものを完全に制御することはできないが、食事や生活習慣によって遺伝子発現に良い影響を与えることはできる。すでに現れている認知症の症状を完全に治すことは難しいかもしれないが、食事を改善することで、より急速な病状の進行を防ぐことはできる」と述べている。(HealthDay News 2026年7月1日)

https://www.healthday.com/health-news/neurology/diets-that-lower-inflammation-might-cut-dementia-risk-study-indicates

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