高齢者の中高強度身体活動、アミロイドβ蓄積に伴う認知機能低下を緩和か-北大ほか
アミロイド蓄積による認知機能低下と身体活動の関連性は未解明
北海道大学は6月9日、地域高齢者を対象とした2年間の縦断調査から、中高強度の身体活動を習慣的に行っている高齢者では、脳内アミロイドβ蓄積に伴う認知機能低下が小さい傾向にあることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院教育学研究院の牧野圭太郎講師、国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センターの島田裕之センター長らの研究グループによるもの。研究成果は、「GeroScience」にオンライン掲載されている。
認知症の中でも多くの割合を占めるアルツハイマー病は、脳内にアミロイドβと呼ばれるタンパクが過剰に蓄積することが一因となって発症すると考えられている。特に、アルツハイマー病が発症する前段階では、この脳内アミロイドβ蓄積が認知機能の低下に先行して現れることが明らかにされている。認知症予防の文脈において、習慣的な身体活動は認知機能の維持に有益であることが知られている。しかし、身体活動がどのような側面において保護的な役割を果たすのか、特にアミロイド蓄積による認知機能低下とどのように関連するかについては十分に検討されていなかった。
そこで、今回の研究では、地域在住高齢者を対象とした2年間の縦断調査から、身体活動習慣と脳内アミロイドβ蓄積が認知機能変化に及ぼす相互作用を検討した。
中高強度の身体活動が多いとアミロイド蓄積に伴う認知機能低下が小さい
認知症の診断を受けていない地域在住高齢者を対象に、強度別の身体活動量の評価及び脳内アミロイドβ蓄積の計測を行った。さらに、認知機能を繰り返し検査することで、2年間の認知機能変化を追跡調査した。線形混合モデルと呼ばれる統計モデルを用いて、身体活動量と脳内アミロイドβ蓄積が認知機能変化に及ぼす相互作用について、年齢、性別、教育歴を調整した上で検討を行った。
対象者全体では、アミロイドβが一定以上蓄積している集団においてその後2年間の認知機能の低下が大きいことが確認され、先行研究の知見を支持する結果が得られた。対象者を日常の身体活動量でグループ分けした場合、アミロイド蓄積と認知機能低下との関連は中高強度の身体活動の多寡によって異なり、中高強度身体活動とアミロイド蓄積の間には相互作用が認められた。具体的には、中高強度身体活動が少ない集団ではアミロイド蓄積に伴う認知機能低下が大きく、反対に、中高強度身体活動が多い集団ではアミロイド蓄積に伴う認知機能低下が小さい傾向にあった。一方で、比較的強度の低い歩行運動では、このようなアミロイド蓄積との相互作用は認められなかった。
中高強度身体活動が認知機能低下の緩和に寄与する可能性、予防への新知見
「今回の研究で得られた結果は、中高強度の身体活動習慣がアミロイド蓄積に伴う認知機能低下の緩和に寄与する可能性を示唆している。地域高齢者の認知機能維持を目指す上で、強度別の身体活動と認知機能変化との関連性についての新たな知見を提供するものと考えられる」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部新規ウィンドウを開きます)
Medical meets Technologyでは会員登録(無料)いただいた方限定のコンテンツを配信しています。
ぜひ会員登録の上、ご利用ください。




