心疾患の発症リスクを下げたいならテーブルソルトを食卓に置かないようにする方が良いかもしれない。日頃から減塩を実践している人でも、料理に塩をふりかける習慣があると、心血管疾患(CVD)の発症リスクの上昇をまねく恐れのあることが、米テュレーン大学公衆衛生・熱帯医学部教授のLu Qi氏らの研究で示された。研究結果は、「Journal of the American College of Cardiology」12月6日号に掲載された。

この研究でQi氏らは、成人17万6,570人の塩分摂取量に関するデータを収集し、料理に塩をふりかける習慣やDASH食とCVDリスクとの関連について調べた。高血圧の予防と改善を目的とするDASH食では、果物や野菜、全粒穀物、低脂肪の乳製品などを多く摂取するほか、肉や魚、鶏肉などの家禽類、ナッツ類、豆類なども摂取できるが、砂糖が添加された食品や飲料、赤肉、添加脂肪の摂取は制限される。

その結果、料理に塩をふりかける習慣があまりない人では、CVDリスクが有意に低いことが明らかになった。リスクは、料理に「常に」塩をふりかける人に比べて、ふりかける頻度が「たいてい」と「時々」の人でそれぞれ19%と21%、「全く/めったにふりかけない」人では23%低かった。さらに、CVDの種類ごとに検討すると、料理への塩の添加と最も強い関連を示したのは心不全、次いで関連が強かったのは虚血性心疾患であった。その一方で、脳卒中との間に関連は認められなかった。CVDリスクが最も低かったのは、DASH食を実践し、かつ塩をふりかける頻度が最も低い人であった。

料理に塩をふりかける習慣があまりない人の特徴としては、女性、白人、適正体重の人、飲酒量が適度で喫煙習慣がなく、身体活動量の多い人、つまり健康的な生活習慣の人であることが明らかになった。一方、料理に塩をふりかける習慣がある人には、社会経済的地位が低く、喫煙者の割合が高い傾向が認められた。

Qi氏は、「われわれの研究結果から、CVDは摂取する塩の量を減らすという行動変容を通じて予防できる可能性が示された」と述べている。ただ、この研究で関連性は示されたが、塩をふりかけることとCVDの因果関係が証明されたわけではない。

今回の研究の付随論評を執筆した、米ネブラスカ大学医療センターのSara Ghoneim氏は、「心筋梗塞や心不全などの有害な心疾患と診断される確率は、料理にどの程度の塩をふりかけているかによって変わってくる」と説明する。同氏は、塩をふりかける頻度やその量が増えるにつれて、心不全や心筋梗塞、狭心症のリスクが高まると指摘。それに対し、DASH食を取り入れ、塩分摂取量を制限することで、「これらの疾患から心臓を守ることができる」と説明している。

料理への塩の添加量を制限するには、食卓に塩を置かないようにすれば良い。これは誰にでも簡単にできることだ。Ghoneim氏は、「結局のところ、最も重要なのは生活習慣の是正だ」とした上で、「含まれる食塩の量が2g未満の健康的な食事を取ることが理想的だ。また、量だけでなく、料理に塩をふりかける頻度にも注意すべきだ」と呼び掛けている。(HealthDay News 2022年11月30日)

https://consumer.healthday.com/salt-2658773118.html

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