新型コロナウイルスへの感染後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン(以下、新型コロナワクチン)接種を受けることで、COVID-19の後遺症のリスクを低減できる可能性のあることが、新たな研究で報告された。英国国家統計局(ONS)のDaniel Ayoubkhani氏らが実施したこの研究結果は、「The BMJ」に5月18日掲載された。

今回の研究では、ONSのCOVID-19に関する調査に参加した18~69歳の成人2万8,356人(平均年齢46歳、女性55.6%)のデータが分析された。これらの参加者は、新型コロナウイルスの検査で陽性の判定を受けた後に新型コロナワクチン(ウイルスベクターワクチン、またはmRNAワクチン)を1回以上接種していた。追跡期間の中央値は、ワクチンの1回目接種後141日間(全参加者)、2回目接種後67日間(83.8%の参加者)だった。

追跡期間中に参加者の23.7%(6,729人)が、さまざまな重症度の後遺症を経験したことを1度以上報告していた。解析の結果、ワクチン接種前では、後遺症が生じるリスクに経時的な変化は認められなかったが、ワクチンの1回目接種により、後遺症が生じるリスクに12.8%の低減が認められた(P<0.001)。ただし、参加者が12週間後に2回目の接種を受けるまで、その低減が持続するのかどうかについては明確な結果を得られなかった。ワクチンの2回目接種により後遺症のリスクはさらに8.8%低減し(P=0.003)、それ以降は1週間当たり0.8%低下していた。この結果は、日常の活動が制限されるほどの重い後遺症のみに焦点を当てた場合でも同様であった。

こうした結果を受けてAyoubkhani氏は、「感染後の新型コロナワクチン接種により、少なくとも数カ月間は後遺症リスクが低下する可能性がある」と述べている。ただし、この研究は観察研究であるため、感染後のワクチン接種により後遺症を予防できることを裏付けるものではない。それでも同氏らによると、所得水準、健康関連因子、ワクチンの種類、ウイルス感染からワクチン接種までの期間などを考慮しても、結果は一貫していたという。

研究グループは、「今後は、新型コロナワクチン接種とCOVID-19の後遺症との長期的な関連をさらに詳しく調べ、ワクチン接種後の症状改善を後押しする生物学的な仕組みを解明する必要がある。そうした研究で得られた結果が、後遺症の治療法の開発に役立つ可能性がある」と述べている。

英リーズ大学のManoj Sivan氏らは付随論評の中で、「新型コロナウイルス感染後のワクチン接種が後遺症の予防につながるのかについては疑問が残るが、COVID-19の後遺症が生じている患者には、再感染リスクを低減するためにワクチン接種が重要なことは明らかだ」と述べる。同氏らは、「残念ながら、COVID-19の後遺症の長期的な予後については、ワクチンのブースター接種の影響やCOVID-19の再発を含め、未知の部分が多い」と指摘し、「個人に対するワクチン接種の効果を予測するには、さらに研究を重ねる必要がある」と述べている。(HealthDay News 2022年5月19日)

https://consumer.healthday.com/b-5-19-getting-covid-vaccine-after-a-infection-might-curb-long-covid-2657337546.html

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