50歳未満の女性に対する大腸内視鏡検査により、大腸(結腸・直腸)がんの発症リスクを大幅に減らすことができるとする研究結果が報告された。米マサチューセッツ総合病院の消化器病専門医で疫学者のAndrew Chan氏らによるこの研究結果は、「JAMA Oncology」に5月5日掲載された。

米国では男女ともに、がんによる死亡の原因の第3位が大腸がんである。大腸がんの全体的な罹患者数は減少してきているものの、1974年から2013年の間に、50歳未満での罹患率は51%も上昇しているという。Chan氏は、「ここ数十年の間に、若年齢者での大腸がんの罹患率が驚くほど増加している。しかし、大腸がんのスクリーニング検査は、主に50歳以上を対象にしている」と懸念を示す。

近年、米国がん協会と米国予防医学専門委員会(US Preventive Services Task Force;USPSTF)は、大腸がんのスクリーニング検査を45歳から開始することを推奨している。しかし、スクリーニング検査の開始年齢を前倒しすることで実質的にどの程度のベネフィットを得られるのかについては、明らかになっていない。

そこでChan氏らは、米国の看護師健康調査II(Nurses’ Health Study II;NHS II)のデータを用いて、大腸がんのスクリーニング検査開始年齢と大腸がんの発症リスクとの関連を検討した。対象は11万1,801人の女性看護師(試験登録時の年齢26〜46歳、年齢中央値36歳)で、1991年から2017年まで追跡されていた。

解析の結果、大腸がんのスクリーニング検査を受けていた女性では、受けていない女性に比べて、大腸がんの発症リスクが有意に低いことが明らかになった。リスク低下の程度はスクリーニング検査の開始年齢により異なり、ハザード比は、45歳未満で0.37(95%信頼区間0.26〜0.53)、45〜49歳で0.43(同0.29〜0.62)、50〜54歳で0.47(同0.35〜0.62)、55歳以上で0.46(同0.30〜0.69)であった。また、45〜49歳でスクリーニング検査を開始した人では、50〜54歳で検査を開始した人に比べて、60歳までの大腸がんの推定累積罹患率が10万人当たり72人減少すると推定された。

Chan氏は、「われわれの研究は、現行よりも早い年齢で大腸がんのスクリーニング検査を開始することにより、個人での大腸がんの発症リスクだけでなく、集団レベルの大腸がん発症率を低下させられることを示した、初めての研究だ。この結果を受けて、個人レベルでも集団レベルでも、スクリーニング検査開始年齢の前倒しが検討されるようになるはずだ」と述べている。

またChan氏は、「今回の研究対象者は女性だったが、男性でも大腸がんスクリーニング検査の開始年齢を早めることで、同様のベネフィットが得られる可能性が高い」との見方を示す。なお、大腸内視鏡検査は侵襲的な検査法だが、糞便を用いた非侵襲的なスクリーニング検査も利用可能だという。(HealthDay News 2022年5月10日)

https://consumer.healthday.com/b-5-10-study-supports-colonoscopies-for-women-under-50-2657270694.html

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