米モデルナ社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンは、米ファイザー社製の同ワクチンよりもわずかに効果が高い可能性のあることが、新たな研究で示された。米食品医薬品局(FDA)により承認されている、モデルナ社製、ファイザー社製、および米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社製ワクチンについて、接種後の抗体価の推移を調べたところ、ファイザー社製ワクチンはモデルナ社製ワクチンに比べて、抗体価の低下スピードの速いことが明らかになったという。米バージニア大学(UVA)医学部のBehnam Keshavarz氏らが実施したこの研究の詳細は、「Frontiers in Immunology」に3月21日掲載された。

この研究では、上記3種類のいずれかのワクチン接種を完了した234人を対象に、ワクチン接種完了後の抗体(IgG抗体)量の推移を10カ月間追跡した。対象者の内訳は、2回接種型のファイザー社製、またはモデルナ社製mRNAワクチン接種者がそれぞれ114人ずつ、1回接種型のJ&J社製ウイルスベクターワクチン接種者が6人であった。対象者は、最後のワクチン接種後7〜100日の間に血液サンプルを1回以上、提供していた。

その結果、2回目接種後7〜20日の間では、ファイザー社製ワクチン接種群とモデルナ社製ワクチン接種群の抗体価はほぼ同等であり(50〜100μg/mLかそれ以上)、J&J社製ワクチン接種群の抗体価(約2μg/mL未満)よりも約50倍高いことが明らかになった。

2回目接種から21日以降では、ファイザー社製ワクチン接種群とモデルナ社製ワクチン接種群の両群で抗体価が減少し始めたが、減少スピードはファイザー社製ワクチン接種群の方が速かった。また、ワクチン接種から6カ月経過した時点でのファイザー社製ワクチン接種群の抗体価は、モデルナ社製ワクチン接種群、および6カ月前にCOVID-19により入院した人の抗体価よりも低かった。

さらに、ファイザー社製ワクチン接種群では抗体価に年齢差が認められ、50歳以上の人では50歳未満の人に比べて、どの時点でも一貫して抗体価が低かった。モデルナ社製ワクチン群では、このような年齢による抗体価の違いは認められなかった。

同じmRNAワクチンであるにもかかわらず、なぜこのような違いが現れたのか。Keshavarz氏らは、「ファイザー社製ワクチンとモデルナ社製ワクチンは、仕組みは同じでも、ワクチンを構成する製剤とmRNAの量が違っている。この違いにより、今回観察された抗体反応の差を説明できる可能性がある」と述べている。

Keshavarz氏は、「ワクチン接種後に抗体価が下がるのは驚くべきことではないが、mRNAワクチンでの抗体価低下の速さには驚いた。特に、ファイザー社製ワクチン接種後に、これほど急激に抗体価が下がるとは思いもしなかった」と話す。同氏らは、「この研究では、抗体反応はモデルナ社製ワクチン接種者の方が大きかったが、それが実際の防御効果の高さを意味するのかどうかは不明だ。とはいえ、徐々に明らかになりつつある、接種したワクチンによる感染率の違いを、今回の研究結果により説明できる可能性はある」との見方を示している。

論文の上席著者でUVAのアレルギー・免疫専門医であるJeffrey M. Wilson氏は、「ファイザー社製およびモデルナ社製のワクチンは、いずれも重症化予防効果が極めて高いことはすでに裏付けられている。今回の研究は、アウトカムの面でわずかにモデルナ社製ワクチンの方が優れていることを示す他の研究結果を基に実施された」と研究背景について述べる。そして、「得られた知見は、とりわけ、高齢者や免疫系の働きが抑制されている患者など、リスクの高い集団に当てはまる可能性がある」と同大学のニュースリリースで付け加えている。(HealthDay News 2022年4月18日)

https://consumer.healthday.com/covid-vaccine-2657155933.html

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