新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防効果がより高いのは、米ファイザー社製のワクチンと米モデルナ社製のワクチンのどちらなのだろうか。そうした疑問を抱く人は少なくないだろう。そんな中、モデルナ社製のワクチンに軍配を上げる研究結果が報告された。いずれかのワクチンを接種した約44万人の米国退役軍人を対象にしたこの研究の詳細は、米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院および米ハーバード大学医学大学院のJuan. P. Casas氏らにより、「The New England Journal of Medicine」に12月1日発表された。

過去に実施されたランダム化比較試験で報告されたワクチンの発症予防効果は、ファイザー社製ワクチンで95%、モデルナ社製ワクチンで94%であり、観察研究からも、リアルワールドでの両ワクチンの防御効果は同レベルであることが示唆されている。しかし、これらのワクチンを突き合わせてさまざまな転帰を比較した研究結果は、報告されていない。

そこでCasas氏らは、2021年1月4日から5月14日の間にファイザー社製またはモデルナ社製のいずれかのワクチンを初回接種した米国退役軍人(それぞれ21万9,842人ずつ)の電子カルテを抽出し、24週間追跡して、さまざまな転帰について両群間で比較した。転帰には、新型コロナウイルス感染、症候性のCOVID-19、COVID-19による入院、集中治療室(ICU)入室、およびCOVID-19による死亡を含めた。

その結果、新型コロナウイルスへの1,000人当たりの感染リスクは、ファイザー社製のワクチン接種群で5.75人、モデルナ社製ワクチン接種群で4.52人であり、前者の方がリスクの高いことが判明した(リスク比1.27)。また、ファイザー社製ワクチン接種群ではモデルナ社製ワクチン接種群に比べて、1,000人当たりで見ると、症候性COVID-19が0.44人(リスク比1.39)、入院が0.55人(同1.70)、ICU入室が0.10人(同1.38)、COVID-19による死亡が0.02人(同1.11)多かった。さらに、デルタ株が猛威を振るった12週間を対象に追加調査を行ったところ、感染リスクはやはり、モデルナ社製ワクチン接種群よりもファイザー社製ワクチン接種群の方が高いことが明らかになった(1,000人当たり6.54人多い)。

研究論文の筆頭著者である、ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のBarbra Dickerman氏は、「ファイザー社製とモデルナ社製のワクチンはいずれも有効性が非常に高いが、今回の大規模研究により両者の微妙な違いを確認することができた。推定されたリスク差は絶対的な規模としては小さい。しかし、ワクチン接種人口の規模を考えると、この差は、医療システムやより高レベルの組織などの規模の大きい意思決定機関にとっては意味のあるものかもしれない」との見方を示している。

Casas氏らは、ファイザー社製およびモデルナ社製のワクチンの安全性と有効性について、今後もさらに評価する必要があるとしつつも、「両ワクチンの高い有効性と安全性のプロファイルを考慮すると、とにかくどちらか一方のワクチン接種を推奨する」と結論付けている。(HealthDay News 2021年12月2日)

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