ファイザー社製の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン接種者では、ブースター接種が必要である可能性を指摘する研究結果が、イスラエルの研究グループにより報告された。ワクチンの2回目接種後に防御効果が徐々に低下することが明らかになったためだという。研究の詳細は、「The BMJ」に11月25日発表された。

イスラエルは、2020年12月より、世界に先駆けてCOVID-19ワクチンの大規模接種を進めてきた国であり、世界の中でも高いワクチン接種率を誇っていたが、2021年6月以降、感染の再拡大に見舞われている。ブレイクスルー感染については、イスラエルのようにワクチン接種率が比較的高い別の国々からも報告されている。そのため、専門家たちは、ワクチン接種により獲得した免疫力が時間の経過とともに徐々に低下するのではないかとの疑いを持っていた。

そこで、Leumit Health Services研究所(イスラエル)のAriel Israel氏らは、ファイザー社製ワクチンの2回目接種後、時間の経過に伴い新型コロナウイルスへの感染リスクが高まるのかどうかを調べるための症例対象研究を実施した。対象者は、2021年5月15日から9月17日の間に、ワクチンの2回目接種後3週間以上経てから新型コロナウイルスのRT-PCR検査を受けた18歳以上の成人で、COVID-19罹患歴がない8万3,057人(平均年齢44.0歳、女性52.4%)であった。

調査期間中に対象者の9.6%(7,973人)が、RT-PCR検査で陽性と判定されていた。全年齢層での陽性率は、2回目接種後21~89日で1.3%、90~119日で2.4%、120~149日で4.6%、150~179日で10.3%、180日以降では15.5%であり、時間の経過とともに上昇していた。また、2回目接種後21〜89日での感染リスクと比べると、90~119日では感染リスクは2.37倍、120~149日では2.66倍、150~179日および180日以降ではともに2.82倍高かった。

研究グループは、今回の研究の限界として、観察研究であるため、世帯規模、人口密度、ウイルス株の種類などの他の因子がワクチンによる防御効果に影響を及ぼした可能性があることを挙げている。その一方で、「とはいえ、この研究は、同じ種類のワクチン接種者を対象とした大規模研究であり、データを詳細に分析することもできた。それゆえ、得られた結果の信頼性は高いと言える」として研究成果に対する自信も示している。

研究グループは、今回の研究から導き出せる結論として、「ファイザー社製のワクチンを2回接種した人では、防御効果が時間とともに低下し、2回目接種から90日目までと比べて、ブレイクスルー感染のリスクが徐々に高まる。このことから、ブースター接種の導入を検討する必要がある」と結論付けている。(HealthDay News 2021年11月25日)

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