コーヒーの摂取は献血された血液の質に悪影響を与える可能性のあることが、新たな研究で示された。献血された血液に高濃度のカフェインが含まれていると、赤血球は保存中に損傷を受けやすくなることや、カフェインを多く含んだ血液を輸血すると、輸血後のヘモグロビン濃度の増加が抑制されることが明らかになったという。ヘモグロビンは赤血球内のタンパク質で、酸素を運び二酸化炭素を除去する役割を担っている。米コロラド大学医学部のAngelo D’Alessandro氏らによるこの研究結果は、「Haemotologica」に9月4日掲載された。

研究グループは、「米国人の75%が定期的にカフェインを摂取していることを考えると、本研究結果は、米国の血液供給の質に関して重要な疑問を投げかけるものだ」との見方を示している。D’Alessandro氏は、「カフェインが脳や中枢神経系に影響を及ぼすことは以前から知られていたが、赤血球の生物学に及ぼす影響を示した大規模研究は、今回の研究が初めてだ。これらの結果は、朝の1杯のコーヒーのようにありふれたものが、保存された血液の質と患者に輸血された際のその機能に重要な影響を及ぼす可能性があることを示唆している」とコロラド大学のニュースリリースで述べている。

今回の研究でD’Alessandro氏らは、REDS RBC-Omics研究に参加した1万3,091人の献血者データを解析し、カフェインが赤血球の保存品質に与える影響を調査した。

その結果、血液中のカフェイン濃度が高い献血者では、グルコースをエネルギー(アデノシン三リン酸〔ATP〕)に変換する主要な代謝経路である解糖系の活性低下、総アデニル酸プール(体内のATP、ADP〔アデノシン二リン酸〕、AMP〔アデノシン一リン酸〕の総和)や2,3-ビスホスホグリセリン酸(2,3-BPG)の減少、酸化ストレスや浸透圧脆弱性の増加などが確認され、赤血球の代謝が乱れることが明らかになった。また、血液中のカフェイン濃度が高い献血者由来の赤血球は、溶血の増加や輸血後のヘモグロビン増加量の低下と関連することが示された。これらの所見は、特に、低酸素状態で赤血球代謝を調節する遺伝子であるADORA2b遺伝子によく見られる多型を有する献血者で顕著に認められた。

現在、ヨーロッパのいくつかの国では、献血者に献血前のカフェイン摂取を制限するよう勧めているが、米国では積極的には推奨されていないという。カフェインは血圧を上昇させて血管を拡張させるため、献血者からの採血を容易にする可能性があると研究グループは述べている。D’Alessandro氏は、「しかしこの利点と、カフェインが持つ軽度の利尿作用による脱水リスクとのバランスを考える必要がある」と指摘している。

本研究ではまた、ヒトで認められた結果が、マウスモデルを用いて検証された。その結果、解糖系の活性低下などヒトで見られたカフェインの影響が再現された。また、カフェインは、赤血球の代謝に関与するG6PD(グルコース-6-リン酸脱水素酵素)の活性とADORA2B受容体の活性化を阻害することが示された。

研究グループは、これらの知見が、カフェイン摂取によって赤血球で酸化ストレスが増加することが逆説的に運動中の代謝的適応を促進し、その結果として運動やスポーツのパフォーマンスが向上する理由を説明する手がかりになるかもしれないと指摘している。(HealthDay News 2025年9月10日)

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